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いつも書いているように後鼻漏の原因が蓄膿症の場合は治療期間が長くかかることはあっても、その多くは着実に快癒していく。
ところが耳鼻咽喉科で蓄膿症や鼻炎などの問題はないと診断される原因不明の後鼻漏は、一部の人は様々な漢方薬を駆使しても、おいそれと治ってくれないケースがある。
といっても透明希薄なサラサラした後鼻漏の場合は、しばしば藿香正気散(カッコウショウキサン)で速治するケースも珍しくない。
やや粘度の高い後鼻漏ではしばしば荊芥連翹湯で着実に治っていくケースも多く、現在進行形でも数名が明らかな改善を得てる。
ところが比較的希薄透明なサラサラした後鼻漏であり、冷たい食事を取ると明らかに後鼻漏が増えるという特徴のある人に、藿香正気散や半夏厚朴湯を主体に様々運用しても一向に効果がみられないタイプの女性が来られていた。
子供の頃から後鼻漏の傾向があり、成人して以後もしばしば後鼻漏に悩まされていたが、中年以降になってここ3年以上、劇的に悪化して毎日生きた心地がしない最悪の苦しみが続いているとの申告であった。
多くの耳鼻咽喉科にかかってみたが、いずれもまったく無効で鎮静剤が出される始末。
気分も落ち込んで、後鼻漏も落ち続け、舌体も痛みかけた明太子のようにどんよりして弾力に乏しい外観である。
これらを中気下陥の証拠と解釈して、落ち込むものを昇提させる作用を持つ補中益気湯製剤のみに切り替えてみたところ、服用初日は却って大量の後鼻漏が流れ出て苦しく、てっきり合わない漢方薬だよと思案しているのもつかの間、翌日からはもとの後鼻漏レベルに戻り、三日目になるとかなり減って来た。
その後は日毎に後鼻漏の量が減る一方で、10日も経つとほとんど出なくなった。少なくとも9割以上は寛解した感触を得てこんなに嬉しいことはないとの報告であった。
こちらも同様に難治性の後鼻漏が、補中益気湯製剤に切り替えた途端に速効を得られたことは、何よりも嬉しいことであった。
この補中益気湯製剤は朝鮮人参のかわりに党参が配合され、また生姜と大棗は配合されない本来あるべき理想的な補中益気湯製剤を飲んでもらったことで速効が得られたものと思われる。

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